コラムCOLUMN
今回のテーマは、給湯器です。
家庭内でお湯を使う場所は多く、給湯器は生活に欠かせないものです。 2023年度の家庭部門の用途別のエネルギー消費をみると、給湯が27.7%と家庭全体の4分の1程度を占めており※、 少ないエネルギーで効率よくお湯を作る、省エネ性能が高い「エコ給湯器」に入れ替えるだけで、CO₂排出量や光熱費を削減することができます。
国や札幌市の補助制度を活用すれば、購入のハードルを下げることができます。
そこで、今回のメニューは
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主なエコ給湯器の紹介
ここでは、主なエコ給湯器のそれぞれの特徴やメリットなどをご紹介します。
『エコキュート』は、空気中にある熱を集め、その熱を利用して、お湯を作るヒートポンプ技術を使った電気給湯器です。
お湯は、断熱性に優れた貯湯タンクにためて使用されます。お湯をためた状態であれば、停電時でも、貯湯タンクから、お湯を直接取り出して使用することができるので、災害時には生活用水としても利用できるメリットがあります。
空気中の熱を利用するため、電力消費量が少なく、安い深夜電力を利用することで、光熱費を抑えられます。一方で、貯湯タンク等を設置する必要があるため、設置スペースや工事については条件を確認する必要があります。
また、既に太陽光発電を導入している、またはこれから新たに導入を予定している方には、エコキュートと組み合わせた『おひさまエコキュート』がおすすめです。『おひさまエコキュート』は、太陽光発電の電気を利用して空気が暖かい昼間にお湯を沸かすことが可能であるため、通常のエコキュートに加えて太陽光発電の導入費用がかかりますが、使用時の省エネ性能がより高く、経済性に優れた給湯器です。
『エコジョーズ』は、ガスを燃焼させてお湯を沸かしますが、その際に出る約200℃ほどの排気熱を捨てずに再利用して、水を温めます。
そのため、少ないガスでお湯を沸かせるので、ガス代の節約につながります。
お湯を貯める「貯湯式」ではなく、使うときにお湯を沸かす「瞬間式」のため、家族が多い家庭でも、お湯切れの心配がありません。
貯湯タンクが不要なため、コンパクトで設置場所の選択肢が広がります。
一方で、排気熱の再利用に伴って発生するドレン水(結露水)の排水処理が必要となるため、設置場所によっては排水工事が必要になる場合があります。
『ハイブリッド給湯器』は、ヒートポンプ給湯器(エコキュート)とガス給湯器(エコジョーズ)を組み合わせた給湯システムです。
状況に応じ、二つの熱源を効率的に利用してお湯をつくることから、家庭用給湯器の中でも高いレベルの省エネ性能を有しています。
通常は、ヒートポンプ給湯器によってお湯をつくって貯湯タンクに貯めておき、お湯を使い切ったら、バックアップ熱源であるガス給湯器が作動して、お湯をすぐに出せるので、湯切れもありません。
また、災害時にガスや電気のどちらかが停止しても給湯ができ、断水時は貯湯タンクの水も活用できます。
一方で、初期費用が高い傾向にあり、広めの設置スペースが必要です。
『エネファーム』は、都市ガスやLPガス等から取り出した水素と空気中の酸素を化学反応させて、発電し、その際に発生する排熱を使って給湯する家庭用燃料電池システムです。
この発電方法は、燃料を直接燃焼させるよりも効率よく発電ができ、併せて発電時に発生した熱も給湯の熱源として余すところなく再利用できます。また、発電時には水だけが排出されるので、CO₂排出量の削減や大気汚染の低減にも大きく貢献します。
さらに、停電の際に、ガスと水道が供給されていて発電中の場合などには、発電を継続できるため、災害の備えにもなります。ただし、停電時に発電継続する機能を搭載した機種に限ります。
一方で、初期費用が高く、広めの設置スペースが必要です。
『エネファーム』には、お湯や熱を多く必要とするご家庭向けの排熱回収効率が高い「PEFC(固定高分子型)」タイプと、電気を多く使うご家庭向けの発電効率が高い「SOFC(固定酸化物型)」タイプの2種類があり、生活スタイルによって最適な機種を選ぶことが可能です。
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エコ給湯器の選び方
エコ給湯器選びの考え方とポイントをご紹介します。
前章1で紹介したように、エコ給湯器には、様々なタイプがあり、それぞれの特性を理解して、
自分の生活スタイルや住んでいる地域の使用条件に応じたものを選ぶことが大切です。
特に考慮すべきポイントしては
ポイント1:省エネ性能をチェック
省エネ性能の高い給湯器を選ぶことで、光熱費を抑えることができ、家計に優しく、CO₂の排出削減にも貢献できます。
省エネ性能は、製品や販売店に貼付されている「統一省エネラベル※1」や
製品カタログなどに記載されている「省エネ性能指標※2」等で確認や比較ができます。
エコキュートやエコジョーズなどの家電製品の省エネルギー性能を消費者が比較検討しやすいように、
星の数や評価点、年間目安電気料金などで表示したラベル
ラベルの出典:統一省エネラベルが変わりました|経済産業省・資源エネルギー庁
「熱効率」「年間給湯効率」「一次エネルギー消費量」などの数値指標
・数値が高いほど省エネ
・主にエコジョーズで使用
・数値が高いほど省エネ
・主にエコキュート、ハイブリット給湯器で使用
・数値が小さいほど省エネ
・主にハイブリット給湯器、エネファームで使用
ポイント2:家族構成や生活スタイルを考慮
必要な給湯量は、家族構成や日常の使用頻度に応じて変わってきます。
日々の使用量を考慮して適切な給湯能力の機種を選ぶことで、必要な時はいつでも利用でき、
無駄なエネルギー消費を抑えることができます。
ポイント3:設置条件を考慮
給湯器の種類ごとに設置条件や必要なスペースなどが異なります。設置する場所の状況を考慮して選ぶことが大切です。
以上、ポイントをご紹介しましたが、自分達だけでは判断が難しい点もありますので、
選定に当たっては、専門事業者さんにご相談することをおススメします。
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給湯器の補助金の紹介
□国の補助制度の概要
補助を受けるに当たって一定の要件があります。詳しくは以下のウェブサイト等で確認ください。
①事業名:
給湯省エネ2025事業 (高効率給湯器導入促進による家庭部門の省エネルギー推進事業費補助金)
②補助対象:
・戸建て、共同住宅等によらず、新築または既存住宅
・本事業の登録事業者と契約し、性能要件を満たし登録された補助対象製品を設置すること。(リースも可)
③補助対象機器及び補助金額
(前章1.③参照)
共同住宅棟:いずれか1台まで
その性能に応じた定額が加算されます。
(4万円~7万円/台)
給湯機の設置に合わせて、「電気蓄熱暖房機の撤去」「電気温水器の撤去」工事を行う場合はその工事に応じた定額が補助されます。
□札幌市の補助制度の概要
補助を受けるに当たって一定の要件があります。詳しくは以下のウェブサイト等で確認ください。
①事業名:
令和7年度エネルギー源転換補助金
②補助対象:
・既存の住宅で使用している灯油暖房・給湯機器から電気・ガスへの切り替えを行うこと。
・切替前後を比較し、CO₂換算で30%以上の省エネ効果が得られること。
ただし、申請前に既に対象機器の工事契約や設置をされている場合は補助対象外
③補助対象機器及び補助金額
(前章1.①参照)
・寒冷地年間給湯効率もしくは寒冷地年間給湯保温効率(熱回収なし)2.7以上
・メーカー指定の環境条件に設置すること。
・未使用品であること。(中古品は補助対象外)
(上限40万円)
・JIA製品認証された製品であること。
・メーカー指定の環境条件に設置すること。
・未使用品であること。(中古品は補助対象外)
(上限75万円)
①事業名:
2025年度再エネ省エネ機器導入補助金制度
②補助対象:
・自ら居住する、又は居住しようとする札幌市内の住宅に、対象機器を自ら購入し、設置しようとする方。
・札幌市内にある対象機器付き住宅(新築の分譲集合住宅は除く)を購入し、自ら居住しようとする方。
・「札幌市エコエネクラブ」※2へ入会できる方。
※2札幌市が設立した市民の創出したJ-クレジットを管理・運営する任意団体
③補助対象機器及び補助金額
(前章1.④参照)
・マイナス15℃の環境下でも安定した動作をする耐寒性能を備えていること。
・JIA製品認証された製品であること。
・未使用品であること。(中古品は補助対象外)