子どもたちと未来をつなぐ
環境教育情報紙
臼井 純信 さん
エコチル編集長(株式会社アドバコム 代表取締役)
1977年、北海道札幌市生まれ。2001年に24歳で株式会社アドバコムを設立し、代表取締役に就任。2006年には、子ども向け環境教育情報紙「エコチル」を創刊し、編集長を務める。同紙は、北海道・東京都・大阪府をはじめとする全国の公立小学校を通じて毎月約150万部(8月と一部地域を除く)が無料配布され、子どもたちの環境意識向上に寄与している。これらの取組により、さっぽろ環境賞札幌市長賞や地球温暖化防止活動環境大臣賞など、多くの賞を受賞している。
エコチルとは?
エコチルは、子どもたちに環境意識を育むことを目的とした情報紙です。札幌市をはじめ、北海道全域や東京都・大阪府など全国で展開し、小学校を通じて約150万人の小学生とその家庭に届けられています。私たちは、「読むだけでなく行動を促すメディア」を目指し、地球環境問題への関心を高め、持続可能な未来を築くための活動を続けています。
その結果として、2021年7月の読者アンケート調査では、保護者の85.6%、お子様の69.1%が「環境問題に対し、意識が高まった」と回答しており、さらに保護者の79.3%、お子様の69.5%が「環境に配慮した行動を取るきっかけとなった」としています。このように、エコチルは単なる情報提供に留まらず、具体的な行動変容を促すメディアとして大きな成果を上げています。
また、紙質にはグリーン購入法に適合した再生紙を採用するなど環境への配慮を徹底し、札幌市環境局が保有する市民参加型J-クレジット*1を購入し、発行時に排出されるCO2を実質ゼロにする取組も行っています。
*1:札幌市では、市民の太陽光発電導入などにより削減したCO2排出削減量をクレジットとして販売しており、購入者は、購入者が実施する事業において札幌市内で排出されるCO2を相殺(オフセット)することができます。
https://www.city.sapporo.jp/kankyo/energy/j-credit/hanbai.html
多彩な企画で環境意識を啓発
エコチルでは、「伝わる・気になる・体験する」をテーマに、親子で環境問題を楽しく学び、行動につなげるための様々な取組を行っています。その一つが、毎年夏休みに開催される「環境広場さっぽろ」です。このイベントは、札幌市が主催し、次世代の子どもたちが環境やSDGsについて楽しく学ぶことができるものです。2024年8月24日(土)、25日(日)に大和ハウス プレミストドームで開催された「環境広場さっぽろ2024」においては、アドバコムは特別協力する形で、地域の企業や団体と連携して親子で楽しめる体験型プログラムを提供しました。
また、「公共交通アイデアコンテスト」では、子どもたちが公共交通を活用したエコな移動手段について考え、CO2排出量の削減への貢献や持続可能な交通手段の重要性を学びます。自身でアイデアを出すことで、環境問題への理解を深めると同時に、より良い社会づくりへの意識が芽生える機会となっています。
これらの活動を通じて、子どもたちが環境問題を「自分ごと」として捉え、行動に移すきっかけを提供することがエコチルの使命だと考えています。
読者からの温かい声
エコチルは、読者の皆さまから寄せられる声を通じて、その価値を一層深めています。多くの子どもたちや保護者、教育関係者の方々から、環境問題やエコ活動への関心を高めるきっかけとなっているというお声をいただいています。
たとえば、「エコワードパズルで楽しく学べるだけでなく、最新の環境問題がわかりやすくまとめられていて助かる」という声や、「子どもと一緒に読める内容なので家庭で話題にしやすい」といった感想があります。また、「授業で取り上げやすい記事構成で、環境教育にも活用できる」という意見もあり、教育現場での活用例も増えています。
さらに、地域のイベント情報や特集記事については、「新たな発見がある」「日常生活の中で具体的に取り組めるヒントが得られる」といった評価をいただいており、家族でのエコ活動や環境問題への関心を深めるきっかけとなっています。
エコチルは、こうした多くの声を糧に、環境意識を高め、行動につなげるメディアとしての役割をこれからも果たしていきます。
目指す札幌市の未来像
僕は札幌生まれ札幌育ちで、札幌が本当に大好きです。約195万人が暮らす大都市でありながら、年降雪量が約5mにもなる豪雪地帯として世界でも珍しいこの都市には、近郊も含め海も山も自然が豊かで、四季折々の美しさや美味しい空気、食べ物に恵まれています。小学生の頃には授業でスキー学習をしたり、友達と雪合戦を楽しんだりと、札幌の自然の中でたくさんの楽しい思い出を作ってきました。
そんな札幌で育ったからこそ、僕はエコチルを構想することができました。そして、そのエコチルは今や札幌から全国へと広がり、多くの人々に環境問題を考えるきっかけを提供しています。しかし、近年の気候変動により、雪質の変化や夏の気温上昇など、札幌の自然環境に大きな変化が起きていることに危機感を抱いています。札幌の素晴らしい環境を次世代に引き継ぐため、僕は持続可能な都市『環境首都・SAPP ‿ RO』の実現を目指し、行動を起こし続けたいと考えています。
市民へのメッセージ
札幌を、そして地球を守るためには、私たち一人ひとりの行動が欠かせません。この街の自然や魅力を未来へ引き継ぐために、ぜひ皆さんの力を貸してください。まずは、エコチルを手に取ってみてください。そこから始まる気づきや学びが、きっと次のアクションにつながります。
また、札幌市環境局が毎年開催している「環境広場さっぽろ」などのイベントを通じて、家族や地域の人たちと一緒に楽しみながら学び、実際に行動していくきっかけをつかんでいただけたら嬉しいです。私たちが一緒に行動を起こすことで、札幌はより良い未来へと進むことができます。
今こそ、未来の世代のために。次の一歩を一緒に踏み出しましょう。