国民運動「デコ活」とは?
島田 智寛 さん
環境省地球環境局地球温暖化対策課
脱炭素ライフスタイル推進室(デコ活応援隊)長
2006年に環境省入省、COP15(コペンハーゲン)、COP16(カンクン)等に参加し代表団のとりまとめや、北京の在中国日本大使館にて日中二国間での環境分野における調整などの経験を経て、現在はデコ活応援隊長として、2050年カーボンニュートラル及び2030年度削減目標の実現に向けて、国民・消費者(生活者)の脱炭素に向けた行動変容、ライフスタイル転換を促すため、デコ活を推進している。
地球温暖化の現状
最近、いろいろなところで地球温暖化や気候変動といった言葉を聞くようになったのではないかと思いますが、実際にどんな影響が出ているのか、自分にはどう関係するのか、というのはあまり自分事になっていないという方も多いのではないでしょうか?
実際の気温のデータを見てみますと、2023年までに世界の年平均気温は100年あたり0.89℃、日本も100年あたり1.35℃の割合で上昇しており、2023年の日本の年平均気温は、1898年(明治31年)以降で一番高い値になったという報告があります。
この地球温暖化に伴い、すでに世界中で、異常高温、気象災害などの異常気象が多発しています。特に、日本では、年平均気温の上昇が世界平均よりも速く進行していて、熱中症による死亡者数で見ると、2017~2021年における平均が1,134人となり、歴代で最も多くなっています。
地球温暖化によって、豪雨や猛暑などの発生頻度の増加が指摘されており、さらに、このような気候変動は、自然と人々に対し広範な悪影響をもたらすため、自然と都市が共存する札幌市にとっても、大きな影響を与えると考えられます。
我々の生活と地球温暖化の関係は?
みなさまご存じかもしれませんが、地球温暖化は、人間活動により排出された温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)が主な原因であるといわれており、気候変動に関する政府間パネル(IPCC、Intergovernmental Panel on Climate Change)*1の第6次評価報告書(AR6)では、「人間の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない。」と報告されています。
実際に、世界の地上気温の経年変化(年平均)と、世界のCO2排出量を見ると、相関があることがわかると思います。
そのため、温室効果ガス排出削減策を継続的に進めていくことが求められます。
国際的には、2015年のパリ協定において、「産業革命以降の世界の平均気温の上昇を2℃より十分に下回るものに抑えること。1.5℃に制限するための努力を継続すること。」「そのために、21世紀の後半に世界の温室効果ガス排出を実質ゼロにすること」ということが定められました。日本においては、2050年までに、温室効果ガスの排出を実質ゼロにするカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目標として、2030年までに温室効果ガスの排出量を2013年比で46%削減を目指し、さらに、50%の高みに向けて挑戦を続けていくことを宣言しています。
これらの達成に向けて、特に注目したいのが家計由来の温室効果ガスです。国民のみなさまの生活における取組が重要になるのですが、9割の方々が脱炭素という用語を認知している一方、そのために何をしたらよいか分からないなど、具体的な行動に結びついているとは言えない状況にあります*2。
*1 気候変動に関する政府間パネル(IPCC):世界気象機関(WMO)及び国連環境計画(UNEP)により1988年に設立された政府間組織。各国政府の気候変動に関する政策に科学的な基礎を与えることを目的に、世界中の科学者の協力の下、出版された文献(科学誌に掲載された論文等)に基づいて定期的に報告書を作成し、気候変動に関する最新の科学的知見の評価を提供している。
*2 博報堂「第二回生活者の脱炭素意識&アクション調査」〜2022年3月調査結果〜
「デコ活」とは?
そこで環境省では、国民・消費者の行動変容、ライフスタイル転換を強力に後押しするため、国民運動「デコ活」を展開しています。「デコ活」は、二酸化炭素(CO2)を減らす(DE)脱炭素(Decarbonization)と環境に良いエコ(Eco)を含む"デコ"に活動・生活を組み合わせた新しい言葉で、国民のみなさまへの公募の中から選ばれた愛称です。
2030年代にかけ、生活がより豊かに、より自分らしく快適・健康で、そして2030年温室効果ガス削減目標も同時に達成する「新しい豊かな暮らし」を描いており、暮らしの全領域(衣食住・職・移動・買い物)を7つの分野に分けて、国民・消費者目線で、脱炭素につながる豊かな暮らしの道筋を明らかにし、官民連携により、行動変容・ライフスタイル転換を促進しています。
具体的な行動の例として、テレワークは、自家用車での通勤から変えますと、移動にかかる時間と費用を削減できますし、断熱リフォームや高効率給湯器の導入は、一度実施してしまえば、それ以降は普通に生活するだけで脱炭素に貢献することができます。
このように、「デコ活」では、脱炭素は我慢して行うものではなく暮らしを豊かにするもの、として呼びかけています。
札幌市民へのメッセージ
寒冷地では、全国平均と比較して家庭部門のCO2排出量が多く、その要因の一つとして、石油燃料を用いた暖房・給湯機器の利用が多いことがあげられます。ヒートポンプの暖房・給湯機器を導入することでCO2排出量の削減が見込めますが、寒冷地ではヒートポンプ機器の能力が低下するため、ヒートポンプの普及が難しかったのだと思います。
一方、現在は、寒冷地においてヒートポンプの暖房・給湯機器を導入しても、我慢することなく、脱炭素で豊かに暮らせるよう機器が進歩してきています。
札幌市では、従来、夏が比較的涼しいということもあり、エアコンを導入していないご家庭も多くあると思います。地球温暖化が進んでいる現状にあっては、猛暑に適応するためにエアコンの導入を検討しているご家庭もあると思いますが、その際、寒冷地用エアコンを選択し、冷房のみならず暖房として活用することも検討してみてはいかがでしょうか?
ヒートポンプ機器の導入はもちろん、暮らしを豊かにしながら脱炭素に貢献することはすべて「デコ活」です。みなさんも「デコ活」に一緒に取り組んでいきましょう!