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ウィンタースポーツと雪

近年、ウィンタースポーツのアスリートの間で環境問題への意識が高まっていると感じます。ジャンプはもちろん、アルペンもクロスカントリーも、ほかの様々なウィンタースポーツも雪がないとはじまりません。その雪が年々確実に減っていることを直接的に感じ、危機感が強くなっていると思います。
現在は多くの場所で人工雪を利用していますが、本来は自然の雪で競技ができるのが理想です。私がずっと続けてきたスキージャンプは、それぞれの土地や季節の雪の状態、刻々と変わる風の影響を受けながら、予測できない自然にいかに溶け込んでいくかが勝負であり、面白さであると思っています。
ワールドカップなどに出場するスキー選手たちは、シーズンになると毎週いろいろな国で大会に出場しますが、近年ヨーロッパの国々では都心部はもう全く雪が積もらず、競技場にしか雪はありません。それもほとんどが人工雪です。
そうしたなかで、地元札幌で開催される大会だけはどこに行っても雪があり、ウィンタースポーツの大会であることを実感できます。海外から来た選手たちはみんな「札幌は雪があっていいですね。きれいで、すばらしいまちですね」と言ってくれます。これは私たちの自慢であり、これからもずっと引き継いでいきたい環境です。

数多くの世界大会が開催されている大倉山ジャンプ競技場

競技の枠を超えて

アスリートが環境問題に関してできることはまだまだあると思います。私たちも省エネやCO2削減といった取組を進めるとともに、競技の枠を超えて環境問題に取り組んでいこうと各競技団体に呼びかけを進めています。競技に使う道具や設備の再利用など、様々な課題にも積極的に取り組んでいます。
また、皆川賢太郎さん、上村愛子さんをはじめとする冬季産業再生機構のみなさん、スキージャンプの髙梨沙羅選手や中村直幹選手、クロスカントリーの渡部暁斗選手など、影響力の大きな若い方々が先駆けとなって、環境活動に取り組まれていることは本当にすばらしいと思います。今後も多くの人たちに環境問題への意識が広がっていくことを期待しています。

雪国の楽しさを未来の子どもたちへ

北海道や札幌に住む私たちにとって雪はふつうにあるもので、除雪や寒さがたいへんと思いがちですが、世界的にみると実は特別なことで、雪国ならではの楽しさや生活スタイル、知恵のようなものがたくさん詰まっていると思います。今は海外から札幌へ雪を求めて多くの方々がいらっしゃいますし、スキーやスケートがこんなに身近に楽しめるのも雪国だからこそです。
気候変動を含めて、私たちが直面している環境問題はとても大きな地球規模の課題です。でも立ち止まってはいられません。子どもたちが将来も変わらない環境で生活していけるように、私たちが身の回りのできることから実行し、このふるさとの大地を後世につなげていきたいと思っています。

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