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継続してきた企業には、世の中から認められてきた価値があります

私が仕事としているのは中小企業の経営支援で、企業のみなさんに「御社の目的は何ですか?」「なぜ今まで生き残ってこられたのでしょう」と尋ねることがあります。企業は資金が枯渇すると継続することができませんが、だからといってお金が目的にはなり得ません。

人間は血液が回っていないと生きられないが血液を回すために生きているわけではない、ということと似ています。一つの企業が今まで生き残ってこられたのは、お客様や社会がその企業が生み出すものを認めてくれたからです。お客様や社会が認めてくれる価値を、継続して生み出すことこそ企業の目的です。

SDGs*は、社会が求めるニーズ集と捉えることもできるので、「企業が世の中から認められる価値を提供できたということは、その仕事はSDGsのどこかに貢献できているはずです」とお伝えします。

企業が行っている仕事とSDGsの17の目標とを対照していくと、必ず関係する点が見えてきて、自社の社会的な価値や存在意義と結びつけて考えることができます。私は、経営者が自社の社会的な存在意義を認識すると同時に、それをストーリー立てて自分の言葉で話せることが大事だと考えています。ストーリーにすることで理解しやすくなるので、働く人たちは「この会社で働くという自分の選択を肯定できる」ようになるのではないでしょうか。

一例ですが、サステナビリティに高い関心を持つ住宅の設備工事を行うある会社では、社屋に太陽光発電パネルを設置し常に発電量をモニタリングをしており、会社のサステナビリティに対する姿勢がわかりやすく伝わってきます。また、この会社には若い社員が多く「人を育てることは会社の仕事」と考えられていますので、労働環境面でもSDGsの目標と結びついています。 *2015年に国連で採択された「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」。持続可能な世界の実現に向けて、2016年から2030年までに達成すべき17の国際目標が設定されている。 https://www.unic.or.jp/news_press/features_backgrounders/31737/

自社の防災備蓄を家庭でも役立てるというアイデア

企業の存続をおびやかす大きなリスクの一つが自然災害です。私が経営者と対話するテーマの一つに、「災害に見舞われた時に会社をいかに立て直すか」という事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)があります。BCPを検討する際には、社内に備蓄品を置いておくことをお勧めしています。

例えば、社員が会社に2〜3日泊まっても大丈夫なくらいの非常食を置いておき、その非常食は入れ替える1年前になったら社員に配るというのはどうでしょう。社員が自宅に持ち帰れば、家庭で防災について話すきっかけとなるかもしれませんし、社員は会社が自分たちのことを大事にしていると感じるのではないでしょうか。

SDGsには気候変動対策も含まれていますので、会社がBCPを作り、防災備蓄をすることを通じて家庭の防災意識を高めるツールにもなるのではないかと思います。

地域社会と企業がつながること

私が所属する北海道中小企業家同友会札幌支部では「お祭り手伝い隊」という活動をしています。町内会の担い手の高齢化でお祭り開催の困難さが増していることから、テントの設営や撤去などをお手伝いするというボランティア活動です。この活動には、会社や中小企業家同友会の名前を地域のみなさんに覚えてほしいという思いに加えて、利益を得ることだけを考える企業ばかりではないことをわかってもらいたいという目的もあります。

地元を拠点とする企業にもう少し目を向けてみませんか。何をしている企業なのか、その事業は自分たちにどう関係するのか・しないのか。地域に住む人たちから興味を示されることで企業と地域とがつながるきっかけが生まれ、つながることで災害時の助け合いなどいろいろな可能性が広がると思っています。

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