子どもたちと同様に、女性が自然災害などで被害を受けやすいことは世界各地の事例や研究でも明らかです。そしてその原因として指摘されるのが、女性という性別による結果ではなく、社会や経済、政治的に形成されたジェンダーの構造や格差です。
例えば、女性は災害時に子どもや高齢者をケアする立場にいるため避難が遅れる。また、食料や水の不足など不便を強いられるストレスのはけ口が、DVなど女性に向かうケースが増えているとも指摘されています。
よりよい防災・避難所運営のために
避難生活では男女共にトイレの問題が出てきますが、特に女性は衛生面を気にしてトイレに行く回数を減らす傾向にあります。そのため水を飲む回数が減って体調を崩す、あるいはエコノミークラス症候群*1になりやすいといった事例が多くあります。
*1:食事や水分を十分に取らない状態で、狭い場所に長時間座って足を動かさないでいると、血行不良から血液の固まり(血栓)ができやすくなり、それが肺に詰まって肺塞栓を誘発する恐れがあります。参考資料/エコノミークラス症候群の予防のために(厚生労働省)
こうしたことも理解した上での避難所運営が求められますが、防災担当に女性が参画している例が少ないというのが全国的な現状です。一方で札幌市など、女性の参画を推進する自治体もあり、その動きが進んで女性がもっと防災や避難所運営に加われるといいなと思っています。
社会のしくみを変えるのは個人レベルのアクションからだと思います。その中で忘れていただきたくないのがジェンダーの視点です。ジェンダーのことも頭の隅に置きながら、環境やまちづくりに対して自分ができることを一つひとつ積み重ねていけたらいいなと感じます。